将来の医師の在り方というのは不確定な要素が多く、その為に予測立てが難しいのです。今後、遺伝子化学の急速な進歩を医療にも取り入れ、個別化医療・全く新規の治療法の登場によて新たな分野の医師が必要になっていくと考えられます。
その一方で、旧来の治療法の一部は用いられなくなると言えるでしょう。画像診断などの診断分野の業務は機械が担当するようになっていく事でしょうし、遠隔医療の革新によって、医療過疎地域の概念すら薄れていくやもしれません。
こういった医療業務の変化は、未来の医師像を大きく変えていくとともに、必要な医師の総数にも大きな影響を及ぼすと考えられます。医師の数は今ほど必要ではなくなるのか、はたまた相も変わらず人口10万人あたり300人以上の医師を必要とするのか。
実際にその将来が来てみなければわからず、現時点では予測する事はやはり難しいでしょう。
医師過剰の時代が再来する可能性
とはいえ、現時点の問題は改善・解消していく必要があり、医師の業務繁忙を改善するべく政府においても働き方改革に関する議論が進んでいます。その策として、長時間勤務となりがちな医師の健康管理を強化する事・業務の移管を推進する事・複数の医師が協働して主治医となる「複数主治医制」の導入推進・女性医師への支援・ICTの活用による勤務環境の改善などが挙げられます。
現在の年間の医師養成数は9400人ほど、この数を固定すれば必ず医師過剰の時代が再来すると危惧する声も聞こえてきます。その一方で、日本がこれまで背中を追い続けてきた西ヨーロッパ諸国の主要先進国は間もなく人口10万人あたり医師400人という状態に差し掛かります。これが適切なのか、或いは過剰状態なのかを確実に予測するというのは難しいのです。
政府があれもこれも規制するのではなく、かといって市場的コントロールをむやみに過信するわけでもなく、要は過去の事例・実証的データに基づいて冷静な議論が医師数を賢明にコントロールする鍵となるのではないでしょうか。
対となる問題
医師不足と医師過剰の対の問題は、長期的な視野でもって持続的な対策を取る事が必要だと考えます。各都道府県が中心となって医師を集め、地域の医療機関を充実させるという事が重要なポイントとなってきます。医師が喜んで赴任出来るような教育研修体制の充実・勤務環境の改善を怠る事なく実施する事も必要というのはもはや言うまでもないでしょう。
その他に、同じ二次医療圏の中の基幹病院から医師に出張診療に来てもらい、重症者をその病院に搬送するという病院間の密接な協力体制も重視するべきでしょう。このような多様な活動を地道に継続した都道府県が、結果的によい地域医療システムを手に入れる事が出来ると思います。
また総合的な医院だけではなく、特定の分野に特化した医院も増えています。例えば神戸の上野内科・糖尿病内科クリニックは、近年悩む方が増えている糖尿病を専門とするクリニックです。やれる事は今後まだまだ残されていると思います。技術の発達に伴い、選択肢がさらに増える可能性もあるでしょう。
これからの医師養成のあり方と、地域医療については厚生労働省でも検討が進められています。
参考サイト:今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_436600.html
とはいえ、冒頭でもお伝えした通り医師の養成には時間がかかります。来年には問題を解決します!というわけにはいきません。性急な対策を求めても、得られるものは少ないのではないでしょうか。将来の見通しをしっかりと立て、注意深く制御していく持続的で辛抱強く政策を打っていく必要があると言えるでしょう。